通信大学とは?通学の大学との違い・学び方・卒業までの流れ

通信大学とは何かを、通学の大学との違い・学び方・卒業までの流れで紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が文部科学省・厚生労働省などの公的機関と各大学の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。学費・入学時期・課程の内容は年度によって変わるため、最新の情報は各大学の公式サイトで確認してください。

働きながら大卒の資格を取りたい。資格のために大学で学び直したい。そんな時に候補に上がるのが通信大学ですよね。

結論から言うと、通信大学とは、文部科学省の認可を受けた大学の「通信教育課程」のことです。自宅でのテキスト学習を中心に学び、卒業すれば通学の大学と同じ学士の学位がもらえます。

この記事を読むと、通信大学の仕組みと学び方、卒業までの流れがひととおり分かり、自分に合うかどうかを判断できます。

目次

通信大学とは?大学の通信教育課程のこと

先に結論

通信大学は、一般に「通信制大学」と呼ばれるもので、大学に置かれた通信教育の課程のことです。学校教育法にもとづく正規の大学教育で、専門学校や民間の講座とは違います。

『通信大学って、ちゃんとした大学なの?』と気になる方も多いはずです。

学校教育法には「大学は、通信による教育を行うことができる」と書かれています。大学は、通信による教育を行う学部を置くこともできます。

私立大学通信教育協会によると、大学の通信教育は昭和22年に学校教育法で制度になり、昭和25年に正規の大学教育課程として認可されました。70年以上の歴史がある学び方なんです。

どれくらいの大学・学生がいる?

令和7年度の学校基本調査では、通信教育を行う大学(私立)は50校、学生は226,858人でした。この人数には科目等履修生や聴講生も含まれ、学校数には学生募集を止めている学校も含まれます。

区分学校数(令和7年度)学生数(令和7年度)
大学(通信教育)50校226,858人
大学院(通信教育)25校6,521人
短期大学(通信教育)12校19,523人

統計の上では、通信教育の大学・大学院・短大はすべて私立です。放送大学も、公式に「私立大学にあたります」と答えています。

私立大学通信教育協会には、2026年4月現在で38大学・13大学院・7短期大学が加盟しています。協会は、加盟校と加盟していない学校に特別な違いはなく、どちらも文部科学省に認可された正規の大学通信教育だとしています。

どんな大学があるかは通信大学一覧でまとめています。

大学だけでなく、短大や大学院もある

通信教育は、4年制の大学だけのものではありません。短期大学や大学院にも通信教育の課程があります。

種類卒業・修了で得られるもの公的な資料で確かめられたこと
大学(学部)学士124単位以上、うち30単位以上は面接授業かメディア授業
短期大学短期大学士協会によると、面接授業で15単位以上
大学院(修士課程)修士2年以上在学し30単位以上を修得、修士論文などの審査に合格

通信制の大学院は、平成10年に制度になり、平成11年4月に日本大学・佛教大学・明星大学・聖徳大学の4大学で始まりました。大学を卒業した後の学び直し先としても、選べるようになっています。

どんな分野を学べる?

『通信大学って、学べる分野が限られているのでは?』と思う方もいますよね。実は、法律から芸術まで幅広い分野があります。各大学の公式サイトで確かめられた例を挙げてみます。

分野学部・学科がある大学の例
法律日本大学、慶應義塾大学、法政大学、中央大学、近畿大学
心理武蔵野大学、東京福祉大学、聖徳大学、大手前大学
福祉日本福祉大学、東北福祉大学、東京通信大学、佛教大学
教育玉川大学、明星大学、佛教大学、創価大学
芸術・デザイン京都芸術大学、武蔵野美術大学、大阪芸術大学
情報・ITサイバー大学、東京通信大学、帝京大学、北海道情報大学

同じ分野でも、取れる資格やスクーリングの形は大学ごとに違います。分野から探したい時は、一覧の記事とあわせて見てみてください。

通信大学と通学の大学は何が違う?

違うのは「入り方」と「学び方」

卒業して得られる学位は同じです。違いが出るのは、入学の選考、授業の受け方、在学できる年数のような仕組みの部分です。

『通学の大学と比べて、何が違うんだろう?』という疑問に、まず表で答えます。

比べる点通信大学(通信教育課程)通学の大学
入学の選考筆記試験はなく、原則として書類選考学力試験や推薦などの入試
入学時期4月と10月の年2回の大学が多い4月が中心
授業の中心テキスト学習とレポート、メディア授業キャンパスでの対面授業
卒業に必要な単位124単位以上(うち30単位以上は面接授業かメディア授業)124単位以上(遠隔授業で取れるのは60単位まで)
学位学士学士
在学できる期間最短4年。最長は学則で決まり、協会FAQでは8〜12年修業年限は4年
学んでいる人有職者が約半分、年代も幅広い10代で入学する人が中心

卒業すれば同じ学士の学位

協会のFAQでは、卒業すれば学士の学位が得られ、「通学課程の卒業生と何ら変わりはありません」と説明しています。

『卒業証書に通信って書かれるの?』という不安もありますよね。協会によると、卒業証書に通信教育部と書かれるかは大学によって違い、大半では書かれません。ただ、卒業証明書や成績証明書には書かれるところが多いです。

大学学位記(卒業証書)証明書
法政大学「通信教育課程」は書かれない証明書類にはすべて書かれる
中央大学通学課程と同じ「学士(法学)」で、通信の文字は入らない卒業証明書・成績証明書には書かれる
慶應義塾大学書かれない和文の卒業証明書は書かれない。英文の卒業証明書と成績証明書には書かれる
日本大学通学課程と同じ様式公式FAQでは同じ卒業資格と案内

就職や転職での見られ方は通信大学の卒業は就職・転職で評価される?で紹介しています。

通信大学生はどんな人?

通信大学生(通信大学で学ぶ学生)は、10代だけではありません。文部科学省の資料では、学部の学生のうち有職者は48.3%でした。

年代学部の学生に占める割合
18〜22歳19%
23〜24歳6%
25〜29歳11%
30〜39歳15%
40〜49歳17%
50〜59歳17%
60歳以上15%

協会の入学者調査(令和6年度・大学の正規課程)では、最終学歴は高校卒が32.5%、大学卒が30.3%、短大卒が12.7%、専門学校修了が10.8%でした。大学を出たあとに、もう一度学び直す人も多いんですね。

学び方と卒業要件を1枚の地図で見る

4つの学び方で124単位を積み上げる

通信大学の授業は、印刷教材・放送授業・面接授業(スクーリング)・メディア授業の4つです。これを組み合わせて124単位以上を取り、そのうち30単位以上は面接授業かメディア授業で取ります。

ここは少し見方を変えて、「何で学ぶか」と「卒業に何単位要るか」を1枚にまとめてみます。

大学通信教育設置基準では、授業の方法を4つに決めています。

学び方どう学ぶか卒業要件との関係
印刷教材等による授業テキストを読み、レポートの添削を受け、試験を受ける124単位の中心。協会によると卒業までの学習の約4分の3
放送授業放送やネット配信の授業を見る30単位のうち10単位までを代えられる
面接授業(スクーリング)教室で講義・演習・実習を受ける30単位以上の枠で取る
メディアを利用して行う授業ネットで教室以外から受ける30単位以上の枠で取れる。面接授業の代わりになる
印刷教材・放送授業・面接授業・メディア授業の4つの学び方と、124単位・30単位の卒業要件の関係を1枚にまとめた図解

1科目はこんな流れで単位になる

テキストで学ぶ科目は、多くの大学で次のように進みます。

テキスト科目で単位を取る流れ
  1. 届いたテキストを読み、課題の範囲を学ぶ
  2. レポートを書いて提出する
  3. 添削を受けて、合格なら試験の受験資格を得る
  4. 科目の試験を受ける
  5. 合格すると単位が認められる

大学通信教育設置基準では、1単位は45時間の学修が標準とされています。2単位の科目なら、テキストを読む時間とレポートを書く時間を合わせて、それなりの時間を見ておくと安心です。

計画の例として、1年次入学で4年での卒業を目指すなら、124単位を4で割って1年あたり31単位になります。学ぶ速さは人によって違うので、この数字を目安にせず、自分の生活に合わせて年ごとの単位数を割り振ってみてください。

スクーリングはオンラインで受けられる大学も多い

平成13年の改正で、124単位をすべてメディアを利用した授業で取ることも制度上できるようになりました。今は、通学しないで卒業できると案内している大学もあります。

ただし、慶應義塾大学のように面接授業30単位以上が必要で、メディア授業は10単位までしか算入できない大学もあります。詳しくは通信大学のスクーリングとは?で紹介しています。

試験の受け方も大学ごと

例えば星槎大学は、科目修得試験をすべてレポート方式で行い、会場に来る必要はないと案内しています。一方で日本女子大学の児童学科は、全国44か所の会場で科目修了試験を行うとしています。

入学から卒業までの流れ

入学は書類選考、卒業は単位と在学年数で決まる

入学は書類選考で決まることが多く、卒業は124単位以上の修得と、決められた年数以上の在学で決まります。編入学なら卒業までの年数が短くなります。

『入ってから卒業まで、どんな感じで進むの?』という全体像を、流れで見てみましょう。

通信大学の入学から卒業まで
  1. 資料で大学を比べ、学部と入学時期を決める
  2. 出願し、書類選考を受けて入学する
  3. 年度の初めに履修する科目を登録する
  4. テキスト学習・レポート・試験で単位を取る
  5. スクーリングやメディア授業で30単位以上を取る
  6. 卒業論文や卒業試験がある大学では、それに取り組む
  7. 124単位以上と在学年数を満たして卒業する
入学から履修登録、レポートと試験、スクーリング、卒業までの4年間の流れを示した図解

入学の手続きは通信大学の入学方法で詳しく書いています。

何年で卒業できる?

大学の修業年限は4年なので、1年次入学なら最短4年です。短大・大学の卒業者などが3年次に編入すれば、多くの大学で最短2年になります。

在学できる最長の期間は大学の学則で決まります。例えば慶應義塾大学の普通課程は12年まで、放送大学の全科履修生は最長10年です。

協会によると、卒業の時期は毎年3月と9月の2回です。卒業の直前に卒業論文や総合面接試問などの卒業試験を行う大学も多いとされています。

よくある失敗

在学できる期間が長いからと、最初の1年で単位をほとんど取らずに過ごしてしまうことがあります。最初の年に何科目か単位を取って、学習の流れに慣れておくと続けやすいですよ。

続けるコツは通信大学は簡単?卒業が難しいと言われる理由と続けるコツで紹介しています。

費用はどれくらい?

費用は大学と学部で大きく違います。公式サイトで年度や条件まで確かめられた例を並べてみました。

大学条件公式に書かれている金額
放送大学全科履修生・入学料と124単位分の授業料卒業までの学費は約77万円
慶應義塾大学2026年度・正科生初年度合計220,000円、2年目以降は年170,000円
東北福祉大学2026年度募集要項・正科生・1年次入学卒業までの目安は社会福祉学科77.0万円
産業能率大学2026年度・正科生・1年次入学入学時の合計250,000円

このほか、スクーリングの受講料や教材費が別にかかる大学もあります。最新の金額は各大学の公式サイトで確認してください。

協会によると、通信大学の学生には次のような特典があります。

通信大学の学生が使える主な特典(協会の案内より)
  • 日本学生支援機構や各大学独自の奨学金
  • 郵便料金の第4種(通信教育用の郵便物)
  • 試験やスクーリングに出席する時の学割
  • スクーリング期間中の通学定期
  • 所得税の勤労学生控除(所得制限あり)

働きながら学ぶ方は、国の教育訓練給付制度が使える講座もあります。対象は講座ごとに決まるので、教育訓練給付制度の記事で調べ方を確かめてみてください。学費の内訳と抑え方は通信大学の費用はいくら?で詳しく書いています。

通信大学に向いている人・向いていない人の判定表

決め手は「時間を自分で作れるか」

通信大学は、学ぶ時間も順番も自分で決められます。その分、自分でペースを作れるかどうかが、続くかどうかの分かれ目になります。

『自分にできるかな』と不安になりますよね。そこで、当てはまるものを数えるチェックリストを作りました。

通信大学が向いているサイン
  • 仕事や家事の合間に、週に何度か机に向かう時間を作れる
  • 教室に毎日通うのは難しいが、学位や資格はほしい
  • テキストを読んで、自分の言葉でまとめる作業が苦にならない
  • 分からないことを、メールや窓口で自分から質問できる
  • 半年先、1年先の予定を立てて動くのが苦手ではない

3つ以上当てはまったら、通信大学は十分に候補になります。

状況別の判定表

もう少し細かく、状況ごとに見てみましょう。

あなたの状況通信大学との相性考えておきたいこと
平日はフルタイムで働いている合わせやすいオンラインで受けられるスクーリングの多さ
子育て中で外出しにくい合わせやすい家族の協力が要る試験やスクーリングの日
大学を中退していて、学位を取り直したい合わせやすい編入できる年次と認めてもらえる単位
教員・保育士・福祉の資格を取りたい大学を選べば目指せる実習や対面の科目、取れる資格の一覧
仲間と毎日一緒に学びたい工夫が要る対面のスクーリングが多い大学を選ぶ
一人だと後回しにしがち工夫が要る学習の締め切りを自分で作れるか
キャンパスライフや部活を楽しみたい向きにくい通学の大学も合わせて考える
状況ごとに通信大学との相性を判定し、向いている人と工夫が要る人を分けた図解

目的別に考えてみる

例えば、短大を卒業して働いている30代の方が学士を取りたい場合。3年次編入ができる大学なら、最短2年で卒業を目指せます。

一方で、高校を卒業したばかりで進路として考える場合。通信大学は自分で学習を進める時間が長いので、家族とも学び方を話し合っておくと安心です。

「平日の昼はアルバイトをして、夜と週末にレポートを書く」

「スクーリングのある月は、シフトを少し減らしてもらう」

こんなふうに1週間の過ごし方を具体的に言葉にしてみると、家族にも伝わりやすくなりますよ。

迷う時は小さく試す方法もある

4年間続けられるか不安な時は、科目等履修生として1〜2科目だけ学んでみる方法もあります。例えば放送大学の科目履修生なら、1科目だけの場合で入学料7,000円と授業料12,000円の合わせて19,000円です(放送大学の公式サイトに載っている金額)。

大学の選び方は通信大学のおすすめの選び方で、目的ごとに確かめるポイントを紹介しています。

気になる大学を2〜3校に絞ったら、資料を取り寄せて学部・学費・スクーリングの形を見比べてみましょう。比べ方は資料請求で比べる方法でまとめています。

通信大学ガイド

気になる通信大学の資料を取り寄せて比べたい方へ

通信大学は、学費の仕組みやスクーリングの有無、取れる資格、入学時期が大学ごとに違います。気になる大学を2〜3校に絞ったら、資料を取り寄せて同じ観点で見比べるのが近道です。資料請求で確かめたい点と、届いた資料の見比べ方をまとめました。

無料通信大学の資料請求で比べる方法を見る

学費・入学時期・募集の有無は年度で変わります。最新の情報は各大学の公式サイトで確認してください。

通信大学についてのよくある相談

ここでは、通信大学を考え始めた方からよく見かける相談を3つ取り上げます。

相談1 通信大学に入るのは簡単?学歴になりますか?
  • 入学は原則として書類選考で、筆記試験はありません。
  • 卒業すれば、通学の大学と同じ学士の学位が得られ、最終学歴は大学卒になります。
  • ただし卒業には124単位以上が必要で、自分で学習を続けることが求められます。

相談2 通信制大学の卒業はなぜ大変と言われるの?

入学の選考がゆるやかな一方で、卒業までの学習はすべて自分で進めることになります。

レポート、試験、スクーリングの予定を、仕事や家庭と並べて組み立てる必要があるんです。だからこそ、最初に1年の計画を立てておくことが大事になります。

『自分は続けられるかな』と思ったら、まず科目等履修生などで1〜2科目を試してみるのも1つの方法です。身分の違いは通信大学の正科生とはで紹介しています。

相談3 20代のフリーターでも入学して大丈夫?

大学入学資格があれば、正科生として入学できます。文部科学省の資料では、学部の学生の19%が18〜22歳、6%が23〜24歳です。

年齢よりも、何を学びたいか、どう時間を作るかを先に考えてみてください。働きながら学ぶ人が多いので、学び方の情報も集めやすいですよ。

よくある質問

通信大学とは、放送大学のことですか?

放送大学も通信大学の1つですが、それだけではありません。多くの私立大学が通信教育課程を置いています。放送大学は放送大学学園が設置する大学で、公式に私立大学にあたると答えています。

国立の通信大学はありますか?

令和7年度の学校基本調査では、通信教育を行う大学は私立だけでした。放送大学の位置づけは国立の通信大学はある?で紹介しています。

通信大学でも資格は取れますか?

大学と学部によって取れる資格が違います。教員免許、保育士、社会福祉士の受験資格などの課程を置いている大学もあります。取りたい資格がある場合は、資格のページまで確かめておきましょう。

他の大学に在籍したまま通信大学に入れますか?

確認した大学では、ほかの大学に在籍したまま正科生として入学することはできませんでした。科目等履修生なら受け入れている大学もあります。

海外に住んでいても学べますか?

大学によります。テキスト学習は海外でもできますが、試験やスクーリングは日本国内で行う大学もあります。放送大学は令和8年度から海外在住者の受け入れを始めています。

まとめ

この記事の要点
  • 通信大学とは、文部科学省に認可された大学の通信教育課程のこと
  • 卒業すれば、通学の大学と同じ学士の学位が得られる
  • 学び方は印刷教材・放送授業・スクーリング・メディア授業の4つ
  • 卒業には124単位以上、そのうち30単位以上を面接授業かメディア授業で取る
  • 入学は書類選考が中心で、4月と10月の年2回の大学が多い
  • 向いているかは「自分で学ぶ時間を作れるか」で判断する
通信大学ガイド

通信大学ガイド 編集部

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