税理士・社労士・公認会計士と通信大学|受験資格と科目免除の関係

税理士・社労士・公認会計士の受験資格と通信大学の関係を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は編集部が文部科学省・厚生労働省などの公的機関と各大学の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。学費・入学時期・課程の内容は年度によって変わるため、最新の情報は各大学の公式サイトで確認してください。

働きながら税理士や社労士を目指したい。でも、高卒だと受験資格が足りないのでは、と迷っている方も多いはずです。

結論から言うと、税理士と社労士は、通信大学で単位を取ることが受験資格につながります。一方で、公認会計士は誰でも受験でき、キャリアコンサルタントは大学ではなく講習や実務が受験資格になります。

この記事では、資格ごとに「大学がどう関係するか」と、税理士の大学院での科目免除、社労士の62単位の考え方が分かります。

目次

受験資格に大学は関係する?4つの資格を比べる

観点を変えると

「通信大学で取れる資格」を探す前に、その資格の受験資格に大学が関係するかを見ておくと、遠回りを防げます。通信大学が役に立つのは、受験資格を得る場面と、試験の勉強の土台を作る場面の2つです。

『通信大学に入れば、士業の資格に有利になる?』と期待する方もいますよね。資格ごとに、大学との関係はかなり違います。

通信大学は、大学の通信教育課程のことで、通信制大学とも呼ばれます。ここでは、試験を実施する機関の公式ページで確かめた受験資格をもとにまとめました。

資格受験資格と大学の関係通信大学の使い方
税理士会計科目は誰でも受験できる。税法科目は大学卒業や62単位などが受験資格の一つ税法科目の受験資格づくり。大学院での科目免除も
社会保険労務士大学卒業や62単位などが「学歴」の受験資格。実務経験などでも受けられる学歴の受験資格づくり
公認会計士受験資格の制限なし会計や経営を学ぶ場として
キャリアコンサルタント認定講習の修了や、相談の実務3年以上など。大学の卒業は受験資格の一覧にない心理やキャリアを学ぶ場として

ここが大事なところです。税理士と社労士は「62単位」という同じ数字が出てきますが、条件の書き方が少し違います。このあと順に見ていきますね。

自分の場合を確かめるポイント
  • 目指す資格の受験資格に、学歴の区分があるか
  • 学歴以外(実務経験・ほかの資格)で受験資格を満たせないか
  • 通信大学で取る単位が、その条件に当てはまるか
  • 試験を実施する機関に、通信課程の扱いを問い合わせたか
税理士・社労士・公認会計士・キャリアコンサルタントの受験資格に、大学がどう関係するかを比べた図解

税理士と通信大学の関係は?受験資格と大学院の免除

先に結論

税理士試験の会計科目(簿記論・財務諸表論)は、令和5年度の試験から受験資格がなくなりました。通信大学が関わるのは、税法科目の受験資格と、大学院での科目免除です。

『税理士を目指すなら、まず大学を出ないといけないの?』と思っている方もいますよね。実は、会計科目なら今すぐ受けられます。

税法科目の受験資格(学識の例)

国税庁の税理士試験の受験資格では、税法に属する科目を受けるための「学識」の受験資格として、次のようなものが挙げられています。

学識による受験資格の例中身
大学・短大・高専の卒業社会科学に属する科目を1科目以上履修している
大学3年次以上社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得している
専修学校の専門課程一定の専門課程を修了している

このほかに、日商簿記1級などの資格や、会計事務の職歴2年以上などによる受験資格もあります。

「社会科学に属する科目」の範囲は広い

『経済や法律の学部でないとだめ?』と心配になりますよね。

国税庁の説明では、社会科学に属する科目には、法学・経済学系のほか、社会学・政治学・心理学・教育学・福祉学・統計学なども入ります。教養科目や共通科目でもかまわないとされています。

つまり、通信大学のどの学部でも、こうした科目を1科目以上含めて単位を取れば、条件に近づけるということです。

通信課程の単位の扱い

国税庁の受験資格のQ&Aでは、通信課程や放送大学についての記載は見つかりませんでした。自分の単位が条件に当てはまるかは、受験の申し込みの前に国税庁の案内で確かめておくと安心です。

立場別に見る、税法科目の受験資格

『自分はもう条件を満たしているのかな』と気になる方は、最終学歴で見てみてください。

今の立場学識の受験資格との関係通信大学の使い方
高校卒業まだ学識の受験資格はない3年次以上で62単位以上(社会科学の科目を1科目以上)か、卒業を目指す
大学を中退した3年次以上で62単位以上取っていれば当てはまる場合がある足りなければ編入学して単位を積み上げる
短大・高専を卒業した社会科学の科目を1科目以上履修していれば当てはまる受験資格よりも、税法の学びを深める場として
大学を卒業した社会科学の科目を1科目以上履修していれば当てはまる大学院で科目免除を考える時の準備として

例えば大学を中退した方なら、まず前の大学の成績証明書で、社会科学の科目と単位数を数えてみてください。通信大学への編入学で、それまでの単位が認められる場合もあります。

試験日の例(第76回)

第76回(令和8年度)の税理士試験は、令和8年8月4日から8月6日まででした。日程は年度ごとに国税庁から発表されるので、受けたい年度の受験案内を見てみてください。

大学院で科目免除を受ける仕組み

税理士を目指す方がよく気にするのが、大学院の修士による科目免除です。国税庁の修士の学位による免除のQ&Aによると、平成14年4月1日以後に大学院へ進学した人は、次の条件があります。

修士で科目免除を受けるまでの流れ
  1. 税法(または会計学)に属する科目のうち、1科目で一部科目合格をする(満点の60%以上)
  2. 大学院で、税法(または会計学)に関する研究をして修士の学位を取る
  3. 自分の研究が税法などに関するものだと、国税審議会に認定を申請する
  4. 認定されると、税法なら必要な3科目のうち残りの科目も合格とみなされる

国税庁は「これまでも一定数が不認定となっています」とも書いています。研究のテーマは、認定の基準を確かめたうえで選ぶのが大切です。

試験ですべての科目に合格する
  • 大学院の学費がかからない
  • 受験資格さえあれば、自分のペースで科目を積み上げられる
大学院で科目免除を目指す
  • 修士の学費と、2年以上の在学が必要
  • 研究の認定が通らないこともある
  • 1科目の一部科目合格が前提になる

通信の大学院の仕組みや費用は、通信大学院とはで紹介しています。どの大学院の研究が免除の対象として認められるかは、各大学院と国税庁の案内で確かめてみてください。

社労士と通信大学、62単位の考え方

先に結論

社会保険労務士の受験資格は「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣が認めた国家試験の合格」のいずれか1つです。通信大学は、学歴の受験資格を満たす手段になります。

『高卒だと社労士は受けられないの?』という相談はとても多いです。

結論から言うと、学歴以外にも道はあります。そのうえで、通信大学で単位を取るのは、学歴の受験資格を満たすための分かりやすい方法なんです。

社労士試験の受験資格

全国社会保険労務士会連合会 試験センターの受験資格から、主なものを並べました。

区分受験資格の例
学歴大学・短大・専門職大学・専門職短大・5年制高専を卒業した
学歴大学(短大を除く)で62単位以上の卒業要件単位を修得した
学歴一般教養科目36単位以上と、専門教育科目などを合わせて48単位以上を修得した
学歴修業年限2年以上・総授業時間1,700時間(62単位)以上の専修学校専門課程を修了した
実務経験労働社会保険法令の実施事務や、公務員の行政事務などに通算3年以上
国家試験行政書士試験に合格した など

「62単位」は卒業要件の単位で数える

ここは見落としやすいところです。社労士の条件は「卒業要件単位」を62単位以上、と書かれています。

つまり、卒業に数えられる単位で62単位以上を取ることが目安になります。通信大学に在学中でも、この単位を取れば卒業を待たずに受けられる可能性があります。

例えば、仕事をしながら1年次から入学した方の場合、「まず62単位まで」を最初の目標にすると、計画が立てやすくなります。

試験センターに確かめる時は、こんなふうに聞くと話が早く進みます。

「通信教育課程で卒業要件単位を62単位取りました。学歴の受験資格に当てはまりますか?」
「成績証明書などで確認しますので、必要な書類を案内しますね」

よくある失敗

大学の在籍年数や、資格の講座で得た単位を、そのまま62単位に数えてしまうことです。通信課程の単位について明記した記載は試験センターの案内でも確認できなかったので、受験の申し込み前に試験センターへ確かめておきましょう。

短大や専門学校を出ている人は?

短大を卒業している方は、学歴の受験資格をすでに満たしています。一定の専修学校専門課程を修了している方も同じです。

この場合、通信大学に入る目的は受験資格ではなく、労務や法律の学びを深めることになります。法律を体系的に学びたい方は、法学部のある通信大学も参考にしてみてください。

社労士の受験資格のうち、学歴・実務経験・国家試験の3つの区分と、通信大学で62単位を目指す流れを示した図解

公認会計士・キャリアコンサルタントと通信大学

先に結論

公認会計士は、年齢・学歴・国籍に関係なく誰でも受験できます。キャリアコンサルタントは、厚生労働大臣が認定した講習の修了や、相談の実務経験が受験資格で、通信大学の卒業は受験資格になりません。

『会計士も大学を出ていないと無理だと思っていた』という方は少なくありません。

公認会計士は誰でも受験できる

公認会計士・監査審査会のQ&Aでは、「受験資格の制限はありません」と書かれています。受験手数料は19,500円です。

通信大学は、受験資格のためではなく、会計や経営の学びを深める場として考えるとよいでしょう。

キャリアコンサルタントの受験資格

厚生労働省のキャリアコンサルタントのページでは、受験資格を次のように説明しています。

受験資格中身
認定講習厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した
実務経験職業選択や職業能力開発などの相談について3年以上の経験がある
技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験か実技試験に合格した
そのほかこれらと同等以上の能力がある

厚生労働省の認定講習の一覧(令和8年4月から)には22の講習が載っていて、実施機関は民間企業・公益法人・NPOなどです。大学の名前は一覧に見当たりませんでした。講習は150時間以上で、通学と通信を組み合わせる形です。

通信大学で学べる関連の科目

受験資格には直接ならなくても、通信大学でキャリアや心理を学ぶことはできます。公式に書かれている例を挙げますね。

キャリアの分野で公式に確認できた例
  • 大手前大学:取れる資格の一覧に、2級キャリアコンサルティング技能士(受験資格)が載っている
  • 産業能率大学:キャリアコンサルティング技能検定に対応した科目の一覧がある
  • 産業能率大学:人材・組織マネジメントや心理カウンセリングのコースがある

キャリアコンサルティング職種の技能検定の学科試験か実技試験に合格すると、キャリアコンサルタントの受験資格の一つになります。詳しい条件は、各大学の資料と厚生労働省の案内で確かめてみてください。

目的別、通信大学の学部の選び方

先に結論

税理士や社労士の受験資格だけが目的なら、学部はあまり問われません。ただ、試験の勉強の土台にもしたいなら、法学部・経済学部・マネジメント系の学部が選びやすくなります。

『どうせなら仕事や試験に役立つ学部にしたい』と考えますよね。目的ごとに、候補の見方をまとめました。

目的候補に入れやすい学部・コース(公式で確認した例)
税法・会計を学びたい産業能率大学 税務・会計マネジメントコース、法政大学 経済学部(経済学科・商業学科)、日本大学 商学部
労働法や法律を学びたい中央大学 法学部、日本大学 法学部、法政大学 法学部、慶應義塾大学 法学部
経営や組織を学びたい産業能率大学 現代マネジメント学科、慶應義塾大学 経済学部

費用は年度と身分の条件つきで見る

公式で年度が分かる金額の例を並べます。

大学公式の金額(条件)
産業能率大学2026年度募集要項・正科生の1年次入学で合計250,000円(書類選考料・入学金・年額授業料)。授業料にオンラインスクーリングの受講料などを含む
慶應義塾大学2026年度・正科生の初年度合計220,000円。2年目以降は年170,000円
法政大学2024年度以降入学者・本科生の1年次入学で合計130,000円(選考料・入学金・教育費)。次年度以降の教育費は年90,000円

最新の金額は各大学の公式サイトで確認してください。経済学部の選び方は経済学部のある通信大学で詳しく紹介しています。

例えば、平日は残業がある会社員の場合、スクーリングをオンラインで受けられるかも大事な比べどころです。産業能率大学は「通学不要で卒業可能」と公式に書いています。

税理士と通信大学についてよくある相談

よくある相談から

知恵袋などでよく見かける相談から、テーマに合うものを3つ選んで要点をまとめ、答えます。

相談1:子育て中。働きながら通信大学で科目免除を目指したい

『科目免除ができる通信大学を教えてほしい』という相談です。

まず押さえておきたいのは、科目免除は大学(学部)ではなく、大学院の修士で受けるものだという点です。学部の通信大学は、税法科目の受験資格を得る場として考えてみてください。

そのうえで大学院を考えるなら、1科目の一部科目合格と、国税審議会の認定が必要です。

相談2:高卒で社労士の受験資格がない

『社労士になりたいけれど高卒なので受けられない』という相談もよく見かけます。

道は3つあります。通信大学で62単位以上を取る、労働社会保険の実務などを3年以上積む、行政書士試験に合格する、のいずれかです。今の仕事の内容が実務の条件に当てはまらないかも、一度確かめてみましょう。

相談3:正社員で働きながら、通信大学から大学院まで進んで税理士になれる?

不可能ではありませんが、長い計画になります。

会計科目は受験資格なしで受けられるので、通信大学で学びながら会計科目の勉強を先に始める、という順番も取れます。税法科目の受験資格がそろった段階で、大学院に進むかを決めても遅くはありません。

働きながら税理士を目指す順番の例
  1. 会計科目(簿記論・財務諸表論)の勉強を始める
  2. 通信大学で、社会科学の科目を含めて62単位以上を取る
  3. 税法科目の受験資格がそろったら、税法科目を1つ受ける
  4. 一部科目合格をしたら、大学院の科目免除を使うか決める

気になる大学を2〜3校に絞って資料で比べる

学部やコース、スクーリングの形、学費は、大学の資料にまとまって載っています。気になる大学を2〜3校に絞り、資料を取り寄せて比べてみましょう。資料の見比べ方は資料請求で比べる方法で紹介しています。

通信大学ガイド

気になる通信大学の資料を取り寄せて比べたい方へ

通信大学は、学費の仕組みやスクーリングの有無、取れる資格、入学時期が大学ごとに違います。気になる大学を2〜3校に絞ったら、資料を取り寄せて同じ観点で見比べるのが近道です。資料請求で確かめたい点と、届いた資料の見比べ方をまとめました。

無料通信大学の資料請求で比べる方法を見る

学費・入学時期・募集の有無は年度で変わります。最新の情報は各大学の公式サイトで確認してください。

働きながら通信大学で学び、税理士の会計科目と税法科目を受け、大学院の科目免除を考えるまでの順番を示した図解

よくある質問

税理士の会計科目を受けるのに、大学の単位は必要ですか?

いいえ。令和5年度の試験から、簿記論・財務諸表論は受験資格がなくなり、誰でも受験できます。

通信大学のどの学部でも、税法科目の受験資格になりますか?

社会科学に属する科目を1科目以上含めて、条件の単位を取る必要があります。社会科学の範囲は広く、心理学や教育学なども含まれます。自分の単位が当てはまるかは国税庁の案内で確かめてみてください。

社労士の受験資格は、通信大学の在学中でも満たせますか?

大学(短大を除く)で62単位以上の卒業要件単位を修得すれば、学歴の受験資格の一つに当てはまります。通信課程の扱いは試験センターに確かめておくと安心です。

公認会計士を目指すのに通信大学は必要ですか?

受験には必要ありません。公認会計士試験は年齢・学歴・国籍に関係なく受けられます。会計や経営を学ぶ場として使う方法はあります。

公務員の行政事務の経験は、社労士の受験資格になりますか?

公務員の行政事務などに通算3年以上従事した経験は、実務経験の受験資格の例に入っています。公務員と通信大学の関係は通信大学から公務員になれる?で紹介しています。

まとめ

この記事の要点
  • 税理士の会計科目は誰でも受験でき、税法科目は大学卒業や62単位などが受験資格の一つ
  • 社会科学に属する科目の範囲は広く、通信大学のどの学部でも条件に近づける
  • 税理士の科目免除は大学院の修士で受けるもので、一部科目合格と国税審議会の認定が要る
  • 社労士は学歴・実務経験・国家試験合格のいずれかで受けられ、62単位は卒業要件単位で数える
  • 公認会計士は受験資格の制限なし、キャリアコンサルタントは講習や実務が受験資格
通信大学ガイド

通信大学ガイド 編集部

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